【ビジネス教育出版社メールマガジン】

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

金┃融┃コ┃ラ┃ム┃

【テーマ】
「ロジカル・シンキングの重要性(前編)」

【執筆者】
経営コンサルタント、CFP(R)
リンク・イノベーション 代表 中野 克彦(なかの かつひこ)

-------------------------------

ロジカル・シンキングとは、論理的に主張するための考え方のことを指します。
ロジカル・シンキングは、日々の仕事を遂行する上で欠かせないスキルです。

では、論理的に主張するための考え方とはどのようなことを意味するのでしょうか。
例えば、他者に自分の意見を主張する時、「なるほど」と言ってもらうには、
どのようにすればいいのかを考えることを指します。
筋道の立った考えとも言えます。

「なるほど」と言ってもらうには、次の3点を押さえておく必要があります。
1.全体像を捉えていること
2.主張に対して根拠があること
3.前提を疑うこと

1つ目の「全体像を捉えていること」とは、
モレなくダブリなく事象を捉えているかどうかということです。
多くの場合、モレが出てしまうのです。
例えば、食事のとき牡蠣を食べたとしましょう。
そのあと腹痛が起こった場合、往々にして牡蠣が原因とおもってしまいます。
しかし、牡蠣をたべなかったときにも腹痛は起こりうることですし、
食べたからと言って腹痛が伴うものでもありません。
確率的にどの事象が起こりやすいかという視点を意識して持つ必要があるのです。
そうでないと、事象の一部分である牡蠣を食べたからという部分のみしか
考えないことになってしまいます。
私たちはとかく、決め打ちをして考えがちなのです。
全体像を把握したうえで、問題点に近づくことで、見落としも少なくなるのです。

2つ目の「主張に根拠があること」とは、「なぜそのようなことが言えるのか」
という問いに答えられなければならないということです。
エビデンス(根拠)という言葉もビジネスでよく耳にするようになりました。
当たり前ですが、根拠のない主張は、単なる独りよがりの主張でしかなく、
だれも耳を貸してはくれません。

3つ目の「前提を疑うこと」とは、主張の根拠となる土台自体を疑うことを指します。
例えば、新発売されるお菓子のアンケート調査をしたとき、
8割以上の人が「おいしい」と言っているという結果が出たとしましょう。
アンケート結果を鵜呑みにするのではなく、そもそもそのアンケート調査自体に
信憑性があるかどうかを疑ってみる必要があります。
アンケート調査はどのような人に対して、どのような方法で、
母数はどのくらいなのかといったことを疑うべきなのです。
インターネットで調査したのであれば、インターネットを利用できない人の意見は
加味されていないことになりますし、母数が10人と少なければ、
偏りのある意見とも考えられます。

これら3つのポイントをしっかり考慮できていないと、他者から「なるほど」とは
言ってもらえません。
ロジカル・シンキングを身に着けることができれば、自然に筋道の立った、
首尾一貫した主張をすることができるようになります。

プレゼンテーションや、企画書や報告書などを書く時にも
このロジカル・シンキングのスキルは役に立ちます。
ロジカル・シンキングのスキルは、コミュニケーションを取る際の
強力な武器になるのです。

しかし、使いこなせるようになるには、日々のトレーニングが必要になります。
知識として暗記してしまうと、なかなか活用できるレベルにまでは達しません。
常に3つのポイントを意識し、考えることを繰り返さないと身につかないのです。
スポーツと同じなのです。ルールが分かっても練習しなければ上達はしません。

<中野 克彦 プロフィール>
経営コンサルティング&ファイナンシャル・プランニング事務所 リンク・イノベーション代表
経営コンサルタント,CFP(R),1級FP技能士
コンサルタントとして経営戦略立案、マーケティング戦略の策定等を行なう一方で、
FP講師として大学や養成講座、大手生保会社での研修など、
年間100本以上のセミナーをこなす。
日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員。
著書「1円から始める資産運用(共著)」(日本経済新聞社)

*金融メールマガジンを毎月発行しています。
⇒登録はこちらから