書籍詳細
- 判 型B5変形 ハードカバー
- ISBN978-4-8283-0772-5
- ページ330ページ
- 発 行2020年3月30日
- 定価6000円+税
レオナルド・パラドックス ~ダ・ヴィンチノートから見える言葉とイメージの交わり~
ヨースト・カイザー著 海野 桂 訳
オールカラー60点の図版入り!ダ・ヴィンチ芸術の原動力となったのは思考の“パラドックス”だった!絵を描くよりも文章を書いている時間の方が長かったと言われる“万能の天才”のメモと絵画作品をひもときながら、“パラドックス”と矛盾に懊悩したダ・ヴィンチの思考に迫る!
彼が残した膨大なメモや素描、絵画をもとに、言葉とイメージに関する彼の思考を詳細にたどることによって、ダ・ヴィンチ芸術の原動力が“パラドックスだった”ことを解明する。例えば、ダ・ヴィンチの自然に対する考え方がスフマート技法を生み出す一方、言葉による表現との間で矛盾を生じさせるパラドックスは一読の価値あり。
- 判 型B5変形 ハードカバー
- ISBN978-4-8283-0772-5
- ページ330ページ
- 発 行2020年3月30日
- 定価6000円+税
目次
第一章 視覚でとらえる文字の姿
1 ペンの記憶 公証人の息子として/ペンと紙の世界/印刷物との差別/肉筆は唯一無二の個性/手稿に浮かぶ書き手の姿/手書きの風合いを保ち続ける
2 筆跡と書体 装飾性を求めて/誰も描かなかった風景画/文字は素描の一種/絵に添えた字句はほとんどが偽文字/言葉の起源は見ることにあり/アダムの言語を再構築する試み
3 ヒエログリフへの憧憬/目に訴える神秘性/絵画は自然のかたちの真の生き写し
4 レオナルドのヒエログリフ/絵記号は語ることができるか/レオナルドの絵記号の秘密/文字と発音のギャップを埋める
5 文筆家に倣う―静けさのなかでの思索
第二章 自然の刻印 悠久の時に絵画の理想を求めて
1 山あいにて 自然の摂理の探求/自然界の法則に倣う/芸術家は自然学ぶべき/文化への批判、自然への畏敬/レオナルドの作品には署名がない/ジョットとマザッチョのための政策~
2 自然の織りなす光と影 「降り注ぐ陽射しに輝く……」/自然の女神とともに描く/自然の女神は絵の「恋人」/芸術家の仕事場/筆跡を消すために/輪郭は自然にあらず/絵画の様式を越えて/様式にとらわれがちな傾向を批判/絵画の様式を越える/様式のパラドックス/絵画は自然の孫にあたり神につながっている/理想化された世界の視覚化
第三章 あらたな視点 人間の創意が生む絵画
1 画家と詩人の諍い/宮廷にみなぎる競争心/思考のパラドックス
2 寓意の着想 「あらたな事物を創案せよ」/創作は作りごとか真実への道か/詩は絵のごとく
3 レオナルドによる寓意/嫉妬のアレゴリー/創意への渇望から生まれた寓意/文化と言語を背景としたイメージ
4 ルネサンス期における寓意/古代といかに向きあうか/
ルネサンス期の寓意の特徴
5 脳裏に浮かぶイメージ/視覚と記憶のはざまの想像力
第四章 時を越えて 絵画における時間
1 カリンドゥラからの手紙 科学と予言/実現しなかった予言の所/予言に翻弄されたフィレンツェ/予言と夢を結ぶ時間の重なり/夢と絵画の関係性について
2 描かれた時間/絵画が織りなす過去、現在、未来/五つの瞬間を凝縮/絵画は永遠に響きあう
3 自然に反する姿(カウンターネイチャート)が告げる未来/乱世における異形のイメージ/フィレンツェからミラノ、そしてローマへ/寓意と予言の近似性
4 終末の予言/黙示録的な崩壊/教会の穢(けが)れを一掃する王国の誕生を予言/ローマを離れフランスへ/己を語ることなく思想を遺す
結び/注一覧/主要参考文献/謝辞